2012年11月10日

寒蘆茶会〜佐川美術館・楽さんの茶室

守山市の佐川美術館にある、楽吉左衛門さんが作った茶室をはじめて訪ねたのは昨年1月でした。

景色の見え方、光の変化、季節の変化、材料の吟味、、、、あのかたは建築が本職ではないにも関わらず、どうしてここまですごい計算をすることができるのでしょう。

水面すれすれの高さにある広間の茶室(俯仰軒)にすわって、蘆の群生とその彼方に見える比叡山を眺め、ここを動き去りがたく思ったことでした。

そしていつかここでの茶会に参会したいものだと。



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念願かなって本日は「寒蘆の茶会」へ。

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總屋SOHYAさんで生地から選んで染めてもらった香色一つ紋を初おろししてでかけました。


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まずは寄付へのオーストラリアの枕木の路を歩きます。

遠近法を利用してさらに奥深く見せる路の向こうにどんな茶会がまっているのか、、、という期待でテンションがどんどんあがります。

一度来たことはあるのに、茶会の客としておとずれる、というシチュエーションの違いだけでこうも心に映る景色がちがうのですね。

これこそ非日常の茶会というものの功徳ではないかしら。

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寄付には大きな一枚板の鉄刀木(タガヤサン)のテーブル。
大きな割れ目が入っているため、本来は建築材としては使用できず破棄される運命にあったもの。

楽さんに出会えて、こうしてみんなに愛でられる。
物にも運命というものがある。

このテーブルで点心をいただく。
琵琶湖の幸をありがたくいただく。

この時に雨でもないのに水の流れが高いところから落ちる音がたえまなく聞こえ、ああ、これはこの前は気づかなかったな、、と。


実は隣接する腰掛け待合いは水露地と命名され、腰掛けの目の前の水盤を囲む壁から常に水が流れ落ちているのです。

ただ座っているだけでは気づかない。
茶会への期待をいだきつつ、心静かに点心をいただく時、五感がとぎすまされてきて初めて気づくのかなと思いました。


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その水露地はまるで水の中に浮いているような錯覚を覚えさせます。
ここにずっとすわっていたいな。


コンクリートの壁にかこまれた茶室に入る中潜りはまるで躙り口。
中が暗いので、この先にどんな異次元がまちかまえているのだろうとわくわくさせます。

大きな大きな四方の埋蹲居。
前回は見るだけでしたが、今回はちゃんと使わせてもらいました。
どこに使用後の水を流すのか、使ってみて初めてわかったわ。
楽さんの焼貫の茶碗と同じで、なかなか使用がむつかしい[E:coldsweats01]



小間(三畳半)の盤陀庵。

見学の時は中へは入れてもらえませんでしたが、今回はお茶こそいただけませんでしたが、中へ入って一時坐すことができました。
おお、、、こうなっていたのか。

天井がとても高いので、しかも船底にちかい煤竹張りなので、まったく狭さを感じません。
壁が越前和紙のスクリーンなので、よけいに解放感を感じます。小間なのにね。

和紙の中にアクリルの細い板が埋め込まれていて、陽が当たると透けて見えてとても美しいと前回聞いていたのをついにこの目で見ることができた!

すごくすてき![E:lovely]

透明な竹が茶室の向こうに立っているような、、そんな感じ。




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そして広間の俯仰軒(八畳)。

ここは解放感120%、しかも前面には葦とヒメ蒲の水庭。この水庭と茶室の畳が同じ水平位にあるのです。


こちらで確かなお点前でお薄を一服。

主茶碗はあの、例のごっついゆがんだ焼貫。
茶筅通しも、茶巾で拭くのもちょっとたいへんそう[E:coldsweats01]

男性の方のお点前だったのでそれほど違和感はありませんでしたが、女性だとちょっと似合わないかも。
銘が「雨既ニ過ギ」
雨があがったあと、雲の向こうに見えてきた険しい連峰のような飲み口のでこぼこ。
荒々しい篦目。


私は(なんとなく)次客になったので黒楽茶碗でいただきました。
つやつやとした黒の中にさっと異質な黒が一刷毛さされていて、とても美しい。
掌にのるかんじもとてもよくて、こちらの方が私は好きだな。

銘「夜たって月に対す」

あの一刷毛は月だったのか。


ちなみに同行した楽さんファンの友人は断然焼貫派でした。


数茶碗は、数茶碗といっても、楽さんがフランスで、ルビニャックの土、釉薬で焼いた茶碗。

特筆は蓋置。
これも楽さんが焼いた物で形はほとんど石でできたcube。
穴の開いていない蓋置を初めて見た!

これも使う人を選びそうだなあ。

建水も楽さん作。
(こういうとき何でも自分で道具を作れる人はいいなあ)
これは中の景色がよかった。
普通客が見る物ではないので、使う亭主だけのお楽しみ。


そうそう、水指も大ぶりの水盤のような黒い焼き物。
茶器も一閑さんとの合作。

唯一楽さん作でないのは釜と茶杓だけかな。


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この俯仰軒は正客の座に座ると真西向きになり、水庭の向こうに沈む夕陽を見ることができるとか。
この日はあいにく曇りでしたが、薄く鴇色に染まっていく空をながめつつ茶室をあとにしました。
こうして楽さんファンはますます増殖するのね。

この日もなんだかシアワセな一日でしたわ。
(リアル世界はいろいろとたいへんなんですが、、、)
posted by しぇる at 20:00| Comment(6) | TrackBack(0) | お茶と着物3 | 更新情報をチェックする

2012年11月08日

2 ways of the 茶の湯

先日吉田神社でおこなわれた坐忘斎家元の献茶式。


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台子、皆具を用い、場所は神聖な神社神殿前。



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書院茶の原点である神仏への捧げ物としての茶。

私の理解の限りでは、お点前は「真之行台子」とほぼ同じ。

実は坐忘斎のお点前を拝見するのは初めて。
大宗匠のは何度も拝見する機会があったけれど。

点前所作が美しいといわれるだけあるなあと、みとれておりました。

吉田神社は他の献茶式の場所にくらべるとこぢんまりとしていて、お勧めです。


参式された方の中に遠目でもすごく素敵なオーラに包まれた紫の着物をお召しの方がおられました。
よく見ると、あらまあ!
今年の2月、弘道館でお点前してくれた上七軒の尚鈴姐さん!

さすが、なにげに立っておられるだけでたたずまいが違いますね。[E:lovely]



さて一方、こちらは先日京都府立植物園で開催された「お茶といけばなの祭典」。

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利休の待庵もびっくり!!の二畳。

鴨川べりで道行く人にお茶をさしあげる謎の[E:coldsweats01]茶の湯者集団、鴨ん会さんの茶室。

そういえば、昨年の植物園大茶会でもこんな組み立て式茶室をだしておられたっけ。(昨年の記事から)
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(そのときの私のコメントも「待庵もびっくり!」だった[E:coldsweats01]語彙貧困、、、、)

今年はさらに茶室はシンプルに木製棒をプラのコネクターでとめただけの二畳向板。
壁もなくなっちゃいました。

これってすごい!
待庵よりさらにそぎ落としてるぞ!
これぞ究極の「草」の茶。

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この釜敷を見よ。
どこかで拾ってきたブリキ缶の蓋だろうか?

でも、お点前はほんものでしたよ。
植物園のフィトンチッドをいっぱいに浴びて、涼やかな秋の気配を感じていただく一服。
侘び茶もここまできたか。





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もう一つの草庵(?)も謎の集団「竹咲 竹居庵」。

泥棒さん御用達の唐草風呂敷に、つぎはぎも侘びっぽい敷物。
ぐるりを竹の簾で囲った空間。
台所用品とおぼしき風炉先(アルミ製でございます)、あやしい羽織をはおった亭主。

こちらはちらっと遠くからみただけで、詳細を見ておかなかったのが残念。

こちらは丿貫(へちかん)さんもビックリ。





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私は大名物を美術館で見て喜ぶし、方や日常生活道具の見立てもとても面白いと思う。

真台子点前を習うきびしさも好きだし、小習の奥の深さも好き。

茶会ですごい茶道具(とても高価)を拝見して眼福と思うけれど、有名作家のものでない道具をバカにするエセ茶人には腹が立つ。
茶の湯という共通言語が通じない世界にいっちゃった崩しすぎでひとりよがりの茶会は時に見苦しいと思う。



真の茶も、草の茶も、書院茶も草庵茶もどちらも捨てがたい。

侘び茶の完成をめざし、あらゆるよけいな物を削ぎまくった一方で、ちゃっかり黄金の茶室も作っている、、、利休さんは「真」と「草」の間を自由自在に行き来された方でした。

でも凡人には、そこらへんのさじ加減がむつかしいのよ。
自分のめざす茶事、茶会はどこらへんに軸足をおこうかな。
どこに置くのが、「茶禅一味」の世界に一番近いのだろう。

と、そんなことを考えて混乱しているようではまだまだ青いわね。(年齢は青くないけど)


とりあえず次の茶事のテーマを考えねば。
うむむ、、、、
posted by しぇる at 23:35| Comment(12) | TrackBack(0) | お茶と着物3 | 更新情報をチェックする

2012年11月06日

今西家書院

、、、、で、正倉院にかこつけた奈良遊びでしたが、こちらも大きな目玉でした。

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重要文化財今西家書院
高畑エリアです。

ここを現在所有されているのはお隣の今西酒造・春鹿さん。
こちらでは400円で5種のお酒が聞き酒ができる[E:wink]ので、昼間っから一杯やったことはありますが、お隣の今西家書院にはなかなか入れませんでした。



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この日はたっぷり時間があったので、ようやく訪れることができました。

こちら式台付玄関。


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今西家書院は興福寺の最大院家(塔頭のようなもの)であった大乗院家の坊官(執事)を努めた福智院氏の居宅。
執事の家とはいえ、大乗院家ともなると(いや、よう知らんがきっとすごかったにちがいない[E:coldsweats01])やはりすごい。
一説には大乗院の御殿を賜ったとも。



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ぱっとひろがる視界は書院の間からの庭。

よく確認しなかったのですが、この障子は猫間障子といって、一つの敷居に二枚の障子が入っているそうな。
雪見障子が上下にスライドするのに対して左右にスライドするのね。
猫は細い溝をふみはずさずに歩くことができることから付いた名前とか。[E:cat]






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書院は室町中期の書院造りの形式を残しているそうです。


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これはすごい!

半蔀(はじとみ)!
源氏物語絵図にでてくるタイプの雨戸(?)じゃありませんか!

上半分はこのようにはね上げられ、


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下半分はこのように立てかけられていたのかな。




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庭にあるタラヨウの葉に文字を書いた物。

タラヨウは葉の裏面に経文を書いたり、葉をあぶって占いに使用したりしたため、その多くは寺社に植樹されたそうで、さすがそこは興福寺さん関係。(貝葉:ばいよう、とも)


さて、こちらにもお茶室がありました。



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珠光好みの三畳+一畳の板。
点前座の位置から考えると向板の1種か?

地袋の位置にある明かりとりの障子がめずらしい。

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この障子には外からこんな雨戸がつけられていました。

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花器は古代中国の青銅祭器の爵。(レプリカだと思いますが、、、)

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茶室から奥の間をみとおす。
躙り口はなく、貴人口のみ。


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付属の水屋もけっこう広い。
あら、よさげな水指がいっぱい。[E:heart01]

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奥の間から見る奥の庭。
プライベートガーデンですね。





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赤く色づくセンリョウや、石蕗、秋明菊なども。

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この一番奥の部屋の天井はへぎ板の網代になていて、これも数寄をこらしてますね〜。


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天井といえば、玄関のは船底天井だった!

ずいぶん大工さんも遊んだこと[E:happy01]


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お庭のかたすみに、なぜか道祖神さんが。


お掃除や家事をこなしてくれる人つきなら[E:coldsweats01]ちょっと住んでみたいなあ。
(やっぱり冬は寒そうだからやめておこう)


ちなみに今西家書院、プチ・カフェもあります。
こんな素敵なお屋敷で食事を楽しみながら、能管や笙のミニコンサートを楽しむイベントも。

天と地への捧げもの~いのり~

12月1日(土曜日)
12時受付
12時30分会食
14時演奏(15:30終演予定)

笛:雲龍 笙:田島和枝 (秦家で美しい笙の音をきかせてくれた方ですよ)
限定40名様お食事付き6000円
当日演奏のみ3000円
posted by しぇる at 20:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 奈良さんぽ | 更新情報をチェックする