2008年08月30日

久松先生の掛物

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まだまだ暑いですが、秋の気配がそこここに。

我が家の庭にも秋明菊が咲き始めました。お庭をお見せしたいところですが、手入れが行き届きませんで、草ぼーぼーなので

切り花でお目にかけます。

今回もちょっと堅いお話です。



さて、茶室を作って、お披露目の茶会をひらこうと思うとき、まずどんな道具を手に入れたいですか?

私は、お茶碗や茶入れなど手に入れたい物は多々あるのですが、まず茶会の顔となるべき掛物がほしいなあと思っていました。

利休の茶道理念を記した「南方録」にも「掛物ほど第一の道具はなし、客・亭主共に茶の湯三昧の一心得道の物也、墨跡を第一とす」と、ありますし。

ではだれの墨跡?というと私をお茶の世界に心茶会を通じて(精神的に)導いてくださった久松真一先生(元京大文学部哲学科教授で西田幾多郎の直弟子でもありました)の書ほどふさわしいものはないのではないかと思っていました。


以前のブログにも書きましたが、ジェネレーション的に実際に指導をうけたわけではありませんが、最晩年の先生におめにかかりに岐阜の隠居所へおじゃましたことがあります。

その記事の中で、先生の手になる短冊、画仙紙の書は何枚か手元にあり、待合い掛けにぴったり、ということを書いたのですが、本席の床に掛けられるものが欲しいなあ、とかねてより思っていました。

けれど先生はお亡くなりになって久しいし、一般的にはメジャーな方ではないので、手に入れるすべもなし、とあきらめていたのです。

ところがネットで色々検索してみて、岐阜の先生の元隠居所の書院および茶室・抱石庵(抱石は先生の号)が久松真一記念館として公開されており、その開館の節、ご縁のあった岐阜のN画廊さんで久松先生の書を扱っているということを知りました。

早速メールをして問い合わせてみると、折良く、もう少ししたら6点ほどでるので、お知らせします、とのこと。

これもご縁でしょうか。

速攻で2本入手いたしました!






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6点あったなかで、即決したのがこれです。

(正直言うと、、、自力では読めません、、、[E:coldsweats01])

    
     「随所作主(随所に主となる)」

禅宗の有名な「臨済録」の言葉で、このあとに「立つ処みな真なり」と続きます。

目の前の事象に心惑わされる事なく、常に自分という主体を見失わず真人でおれ、というような意味ですが、私はこの言葉を前にすると、思わず背筋をピンと伸ばしてしまいます。

たとえ恵まれない環境、境遇にあっても、それを愚痴るのではなく、己のなすべきことを淡々と為すべし、というふうに解釈し、日々つい不平を口にしがちな自分への戒め、になると思うので。

これはよく、お茶席で見る軸「主人公」の語にも通じる言葉で、先生の本の中によく出てくるのです。

この書に出会えたことは幸運でした。これほど私が理想とする茶室開きの掛物はないと思います。





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先生の字は豪快な時もあれば読みやすい時もあり、全く読めないときもあり、いろんな書体があるのですが、これは珍しく繊細なタッチです。

思い切り筆をあてたところから墨がにじんで、先生の息づかいすら感じられるようです。


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先生の号「抱石」

寒山の詩、「白雲抱幽石(白雲幽石を抱く)」から多分きていると思います。


さて、今ひとつ。



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    「松老雲閑(松老いて雲閑か)」


この後、「曠然(こうねん)として自適す」と続きます。


同じく「臨済録」の言葉で、本来は、臨済義玄が師の黄檗のもとで過ごした日々を回想する言葉ですが、その後、禅僧の理想

の境地を表す言葉になったそうです。

この言葉はよく理解できる、、、という訳ではないのですが、じっと字を見ていると老境かくありたし、という図柄が浮かんでくるんです。

この「閑」の字が好きで、もし茶室(え〜と、今は計画中に付き、茶室のちの字もできてませんが)に扁額を掲げるとしたら、この字を使いたいな〜と。

学生の頃、心茶会の接心会で使わせていただいていた南禅寺の慈氏院(だるま堂:非公開)に、看雲亭という三畳台目の小間の茶室があり、私にとっては理想的な、憧れの茶室でもありました。

めざすところ、この看雲亭のような、お茶室を作りたい。


そして、茶室の名を「看雲」を「雲閑」にかえて、、、なんてどうかな〜などと、ちょっと妄想の世界にはしっております。

さて、掛物は手に入れた、と。

あと実際に茶事、茶会を物理的のみならず、精神的に開くのに値するようになるまで、どのくらいかかるのでしょうかね〜。
(遠い目、、、)
posted by しぇる at 23:24
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