2012年11月02日

国宝 飛青磁花生と国宝 油滴天目茶碗〜東洋陶磁美術館

大阪は中之島。

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数年前のリニューアルですっかりおしゃれなエリアになりました。

右手に見える大阪市立東洋陶磁美術館へ昼休みを利用して。

なにせここには浅川伯教の家にあったという李朝白磁「蓮華文白磁大壺」があるような美術館なので、特別展はいつもツボなんです。

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いつもは中之島公会堂の中之島倶楽部で腹ごしらえをしていざ!なんですが、この日はちょっと気分を変えてリバーサイドのこちらのカフェでランチを。

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オープンカフェからみる美術館。


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今季の展示にはなんと国宝が2つも出ているのですよ。
大盤振る舞い!







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展示スペースは小さいながら、なかみは濃厚。

しょっぱなの重文・砧青磁にクラクラ。(フライヤーの左上)
ものすごいもの見たわ![E:coldsweats02]


12世紀だから1000年近く前のものなのに、今窯からとりだしました、といわんばかりのつやつやのお肌。
(平清盛もこんな花生、宋から輸入していたかも)

歴代の所有者に大事に大事にされてきたのでしょう。(挽屋も仕覆も立派だし)
それだけでなく、経年変化しないくらい完成したテクニックで焼かれたということでもありましょう。


これが南宋時代の龍泉窯青磁か。
「雨過天晴」の青か。

高麗青磁の翡色とも違うセラドンブルー。






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さらに国宝の飛青磁花生のお肌もつやつや。
飛んでいる鉄釉のにじみ具合がなんとも、、、

奇跡のような美しさだなあ。
青磁の魅力は奥が深い。

この美術館で最古の青磁、北宋・汝窯の展示を見て以来、青磁の青はヴァリエーションが多くて、どれが「雨過天晴」の青だろう、といつも思っていたけれど、究極の「雨過天晴」ブルーをここで見たような気がします。


油滴天目(南宋時代)は展示室の電灯では(LEDを導入したらしいですが)どうしても黒っぽく地味にしか見えません。
これ、手にとって光をいろんな方向からあててみると、きっと宇宙青に見えるんだろうな。
(いつか静嘉堂の曜変天目を見てみたい)

それにしても本家本元中国に残っていない曜変天目(最近完品ではないものの中国の窯跡で見つかったらしい)、一体どのような技術で生み出されたのだろう、1000年近くも昔に。

思えば日本の茶人の愛した井戸茶碗は本家の韓国では出土しないし、曜変天目しかり、日本にだけある、、、というのは不思議というかおもしろい。
大陸文化の末梢の末梢ゆえに時代の流行におし流されずに蓄積されたのか、はたまた日本人独特の美意識のなせるわざか?







P1010214(なにわ橋から見るリバーサイドのオープンカフェ。気持ちよさそう)


あ〜、、、すごい物見ちゃった![E:happy02]


posted by しぇる at 23:00| Comment(8) | TrackBack(0) | 美術館 | 更新情報をチェックする

2012年09月24日

人間国宝・江里佐代子の截金〜香雪美術館

このところ美術館めぐりばかりでございます。

でもあちこちであまりに魅力的な展示がおこなわれているんですもの。
行かないわけには!



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ところは阪急御影、神戸の「六麓荘」といわれる超・高級住宅地。



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朝日新聞創設者、村山香雪こと村山龍平のコレクションを収蔵する香雪美術館

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村山龍平は、藪内流茶道を修め、先日書きました住友春翠とも交流のあった、財閥数寄者のひとりです。
この美術館は、広い旧村山邸(重要文化財)の庭の一画にあります。



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美術館の応接室からちらりと見える旧村山邸。(ふだん非公開)
HPをみると近代数寄者のどなたにも遅れをとらない、数寄をつくしたすごい大邸宅のようです。

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藪内家の燕庵写しの玄庵という茶室もあります。(これも非公開)

庭園は年に何度か公開され、年に1回は玄庵で藪内流の茶会(点心は吉兆[E:lovely])がひらかれます。
(かつて阪神間に住んでいたときに、行こうとしてチャンスを逃したことあり)



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さて、今回目的の展示はこれ。
当時最年少(56歳)で人間国宝となり、5年前62歳の若さで異国で急逝した截金(きりかね)作家、江里佐代子の作品展。


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実は截金の作品には以前から少し興味があったのですが、先日NHKの番組で、彼女の生前のドキュメントの再放送があったのです。
(『NHK工房探訪・つくる  截金 江里佐代子』 1990年9月放送)

しかもそこに写された工房はなんと!
いつもの散歩コースの謎の家、ご近所だったんです[E:coldsweats02]
表札もない、かわったデザインのお家だな、となんとなく眺めていましたが、そのデザインが截金のモチーフだということに今やっと気づきました。
平安佛所

放送は現在行われているこの展示会にあわせた再放送のようで、これは行かずばなりますまい。


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截金は細く切った金箔、銀箔、白銀箔を筆と接着剤を用いて貼ることによって文様を表現する伝統技法。

日本では古く奈良時代から存在し、本来仏像・仏画の衣や装身具を荘厳するためのもの。


江里さんはもともと仏師である夫君(江里康慧氏)の彫った仏像を截金で荘厳する仕事をされていたのですが、そこから独自の技法、デザインを発展させて工芸品、美術品の作家となり、その技量をみとめられ人間国宝になった方。


京都迎賓館の舞台扉の截金でも有名ですね。


TVではその創作課程も見ることができましたが、まあ実に細かい細かい、しかも緻密な作業です。

まずはその金箔を切ることから、高等技術。
竹刀という竹の道具で細く太く、様々な太さに切っていくのですが、細いものは髪の毛よりほそいんじゃないかと思います。
しかもちゃんとまっすぐな、同じ幅の直線になっていなければ作品には使えません。


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(購入した絵はがきより)


これを2本の筆をあやつって貼り付けていくのですが、下絵はあってなきがごとし、勘だけで貼り付けていくのにあの幾何学的模様(少しでもずれたら総崩れ)がびし〜っとそろうのはまさに神業です。


展示は、御夫君の仏像に荘厳したもの、香合や盒子などの小物、風炉先や衝立などの大きなものまで。

截金制作工程の写真解説も興味深く、さらに竹刀で切った箔の糸を太さ別にそろえてしまっておく引き出しなどもありました。

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(パンフレットより)

まあ、どの作品もどうやって、どれだけ時間をかけて根気よく完成させたのか?と不思議におもえるくらいのすばらしいものばかりで圧倒されました。

すごい、、、、


パンフの右下の方にあるのが截金を漆でカバーする技法を用いた棗。
なにしろ棗は帛紗でふきますので、截金だけでは剥がれるのです。

そこへ漆を塗ると、最初は漆の黒っぽい色にかくれてうっすらとしか見えないのですが、なんと時が経てばたつほど漆は透明になって、下から截金が浮かび上がってくるのですって。

この棗は、赤っぽくなった漆を透かして、かなり明るく截金が見えるようになっています。
いいな〜[E:lovely]
(ちなみに漆は経年で赤く透明になるのです。これがまたいいんです。先日楽美術館の鑑賞茶会、楽さんと一閑さんの合作の暁塗りというのがありましたが、まさにこれかな)


まだまだこれから、というときに講演、取材先のフランスで脳出血で急逝されたのはほんとうに残念なことでした。


でも現在は、彼女が指導した若い世代(長女の左座朋子さんなど)が育ちつつあるようで、工芸展などで截金作品を見る機会も多々あります。

いつかは、なにかひとつ、茶会・茶事に使えるものを手に入れたいものです。
posted by しぇる at 20:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 美術館 | 更新情報をチェックする

2012年05月06日

王朝文化の華〜陽明文庫名宝展

京都国立博物館にて、開催中の陽明文庫名宝展です。

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このポスターの豪華絢爛さを期待していきましたが、ななな〜んと、展示の7〜8割くらいが古文書でありました。

その方面の研究者に資料閲覧の便をはかっているだけあって、そういう方々にはおもしろくてたまらん、、だろうと思います。
しかしその方面のしろうとにはね〜、、、[E:catface]と思っていたのですがすごくたくさんの方々が熱心にごらんになっていました。

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陽明文庫は、ご周知の通り、近衛文麿が戦前に宇多野に創立したもので、近衛家伝来の古文書、典籍、記録、日記、書状、古美術品などおびただしい史料を保管している施設です。

その近衛家といえば、藤原摂関家の長、(つい、いつもこの話になるが)大河ドラマですっかり悪役ぶりが板に付いた山本耕史さん扮する藤原頼長と仲のわるい兄、保元の乱勝ち組の藤原忠通の長男、基実を初代とする名家中の名家。(ああ、冗漫な説明、、、)

禁中の近衛府が陽明門の近くにあったことから陽明文庫と名付けたようです。

なかでもスター級のお宝といえばやはり忠通の5代前、藤原道長の日記、国宝「御堂関白記」。
自筆本十四巻、古写本十二巻、うち自筆本が全巻見られるのはすごいです。(前期後期通じれば)

特に紫式部日記などでおなじみの中宮彰子の出産のあたりの記録は興味深く見る。

中宮彰子に陣痛が来て、無事生まれるよう僧侶や陰陽師に祈祷をさせた云々。
素直に我が娘の出産の無事を祈る気持ちはあったでしょうが、それだけでなく、この出産には道長一門の命運がかかっていたわけで、そういうことを考えながらその筆の呼吸をみるのはわくわくします。


その他、御宸翰だらけの「大手鑑」。
江戸時代中期の21代近衞 家熈(予楽院)が蒐集した古今の名筆を貼り交ぜたもの。(国宝)

美しいなあと思ったのは、和漢朗詠集をとりどりの料紙に書いた「倭漢抄」。(国宝)
特に仮名の美しさはたとえ読めない私でもわかります。
文字までも美術品にしてしまう文化って日本の他にあるのでしょうか。


そしてお茶を嗜む物としてこれだけは!と思っていたのが予楽院遺愛の茶杓箪笥。
天皇御自作のものから、利休、紹鷗、光悦、織部、宗旦、金森宗和、細川幽斎・三斎、、、、作の31の茶杓がおさめられている小箪笥。
1本でも垂涎なのに、こんなに、こんなに、、、
予楽院さんは茶人としてもすごい人だったようです。

それから香道の道具(蒔絵がふんだんにほどこされたもの)がとてもすてきなのでお見逃しなく。







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博物館のお庭ではツツジが見頃を迎えています。

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さて、あまりの仮名の美しさに、少しでも読めるようになりたい、意味を解せるようになりたいと、(まあ、前々から思いつつなにもしてこなかったんですがね)、ちょうどみやこメッセでゴールデンウィーク恒例の古本市をやっていたこともあり、こんな本をゲット。
まあ、どこまで活用できるかは疑問ですけれど[E:coldsweats01]
posted by しぇる at 00:04| Comment(12) | TrackBack(0) | 美術館 | 更新情報をチェックする
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