2007年05月14日

森見登美彦「きつねのはなし」/京都が舞台の奇譚集

この作家は知りませんでした。
「京の骨董店を舞台に現代の百物語の幕が開く。」
というコピーにひかれて手に取ってみました。


Uxrqmov6 きつねのはなし


ぱらぱらとページをめくると、吉田神社の節分祭、とか、一乗寺の古道具屋、とか、北白川の下宿とか、鷺の森神社、叡山電鉄、etc.etc...私の昔の生活圏で、よ〜く知ってる地名がいっぱい!
というのに感激して買ってみました。

作者は京大農学部在学中に日本ファンタジーノベル大賞を受賞して作家活動に入ったらしい。
どうりで、京大周辺、京大生の下宿が集中してるあたりの地理にくわしいはずだ。
年表からみるとまだ20代の若もんですね。

で、この作品だけれど、いうなれば京都の(いや、左京区限定だけれど)パラレルワールドにおこるあやかし奇譚とでもいうべきかな。
この周辺をよく知ってる人にはたまらない。
例えば、荒神口(近衛通と川端通りの交差点)にかかる荒神橋はよく通った橋で、なんの変哲もない橋だけれど、この話の中ではいうならば、この世とあやかしが跋扈するかくりょ(幽界)との結界になってる。名前も実際の荒神橋を知らなかったら、なんとなく”荒神”って、怪しい感じがしますものね〜。

薄暗いほこりくさい骨董屋が狂言回しの舞台となって、琵琶湖疎水掘削の歴史のなかで知らぬ間に封じ込めてしまっていた水神の話や、いつもは人気のない吉田神社が1年に1度だけ節分のときに、夜店連なる幻想的な別世界になるなかでおこる不思議な話など。

京都はほんとに小さな通りや場所に特別な名前がついているので、京都を知らない人でも、地図を頼りに読んでいくと面白いと思う。

この作者はこういう話が得意なのかなと、思っていたけれど、最近は
”夜は短し歩けよ乙女”という恋愛小説もお書きだとか、、。ロマンスものはあまり好きではないけれど、これも京都が舞台らしいから、頭の中の地図をひろげて読んでみようかな。





2007年04月30日

麻生圭子さんの町家暮らしエッセイ

京町家の造形やそこでの暮らしに惹かれる私としては、まえからず〜っと気にはなってたけれど、スル〜してた麻生圭子さんのエッセイを、ついに3冊まとめて大人買いして読みました。
   「東京育ちの京都案内」
   「京都で町家に出会った。」
   「京町家暮らしの四季〜極楽のあまり風」


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東京から一時の仮住まいのつもりで京都にきて、京都の魅力に取り付かれて、一軒の古い町家を借りて自分たちで補修、掃除をして住むことになった顛末を、四季折々の京都の行事や風景とともにつづったもの。

読んでいて町家独特の光と陰が織りなす空間が目に浮かび、通り庭を通り抜けるかすかな風も感じられるような気がしました。
清少納言の”枕草子”や谷崎潤一郎の”細雪”の世界だな、と思いました。季節折々を、その季節感を増幅してくれるツールでもある町家で日々なにげないことを楽しむ。

いいなあ。そんな生活してみたい。昔の貴族階級のように、生(な)さず、紡がず、ただ季節を愛でる生活。、、、無理!
(働かないと食べていけないのよ。季節の風物ではおなかいっぱいにならないのよ。労働者階級のつらさ、、、。)
もちろん麻生さんも家で執筆というけっこうきつい労働をしてはるわけで、あそんではるわけではありません。

本人も言っておられますが、あくまで”京都に住んでる観光客”というスタンスがかえってわかりやすい。
実際生まれも育ちも京都という人は、あまりに身近で当たり前すぎてなんとも思わないことが、よそからみるとすごく新鮮ですてきにみえること!
たとえば、茶道が好きで日本に来た外人さんの方が、そこらの日本人より、もっと茶道に造詣が深かったりするのとおなじかも。
麻生さんは京都人以上に京都を愛してる感じがよくわかります。

それにしても徹底した昔暮らしで、夏は冷房なし、冷蔵庫なし、網戸もなく、蚊帳をつって蚊とりをたく。
比叡おろしのふく冬もアラジンストーブと火鉢のみ。台所はたたきの床でじんとぎ(人造石のとぎだし。昭和初期の頃の流し)の流し。
お掃除は1日2回シュロ箒に徹底した雑巾がけ。
ここまでくると立派!

この町家を借りることになった当初から、自分たちで板に漆を塗って床材にしたり、何回ふいても雑巾がすぐ黒くなるほどのガラス戸の桟を何十回と拭いたり、ネズミの死骸やクモの巣のかたづけ、、、。町家への思い入れははんぱじゃありません。


冬起きたら布団の中で吐く息が白いとか、着替えが氷のように冷たいとか、特に寒さに弱い私は、いくら町家が好きでもそこまでは、、、、無理![E:coldsweats02]不可能![E:shock]

これらの本を読んだ後、彼女のブログをよくのぞきます。
本に書かれた町家は契約期間が過ぎて、また新たに六波羅蜜寺近くのすごく大きい茶室付きの町家をかりられたようですが、この町家の季節のしつらいや庭、かわいい[E:heart]猫2匹の写真付きでほぼ毎日アップされてて、結構楽しみにのぞいています。

表千家茶道を習い始めてから、またさらに京文化、日本文化への思い入れを強くされたとか、、。
彼女の場合は有名人ですから、茶道の先生も表さんの重鎮中の重鎮で、お弟子さんも有名料亭のおかみや、お嬢様だったり、いろいろなイベントで知り合ったりつきあったりする方々もみんなその道のえらいさんだったりするんですけれどね。こればっかりは一般人はまねしようがありません。

で、今は昔風に町家に住みたいという思いと、やっぱり近代的な設備(せめて暖房は〜〜)は是非!と思う気持ちでゆれてます。そろそろ来年あたり、建築設計士さがさないといけないし、コンセプトをかためとかなきゃいけないんだが、、、。


(追記)麻生さんのブログの猫、ロシアンブルーのロッタちゃんと、その息子で雉トラのトビ君。めちゃくちゃかわいいです。[E:heart]



2007年04月06日

”ナチョ=リブレ” 覆面の神様

ハリウッド、ハリウッドした映画は最近もうウンザリ。大掛かりなシーンもCGばっかりで面白みがない。話の内容も単純で、ヒーロー、ヒロインは現実離れしてタフだし、なんでもかんでもアメリカアズナンバーワン!だし、、。

最近見るのは、ミニシアター系、インデペンデント映画が中心。
でもって、こういう映画は言語が英語ばかりではないので、おもしろい。フランス語あり、スウェーデン語あり、アラブ語あり、私が勉強してるスペイン語ありで。
なかでもスペイン語の映画はスペイン語教室でDVDを無料で貸し出してくれるのでたくさん見た。中の知ってる単語が(すごくちょっとだが)聞き取れるととてもうれしいもんだな〜。

でも、きょうご紹介の映画はめずらしくハリウッド物なんだが、メキシコ人監督のメキシコが舞台の映画。
"ナチョ=リブレ”覆面の神様。


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主人公ナチョ(イグナシオの愛称)を演じるのはジャック=ブラック。”スクール=オブ=ロック”でブレイクして、現在公開中の”ホリデイ”(ジュード=ロウやキャメロン=ディアスが出てる)にも出てる役者さん。
これがまた芸達者なんだわ。コミカルな役なんだけれど、ドタバタになる一歩手前で控えるという高等な技で、品のあるコメディーになってますね。こういうの好き。

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映画は一応ベースは英語だけれど、時々スペイン語がはさまるし、主人公以外はメキシコの俳優さんですごいスペイン語訛りの英語をしゃべってるわけだけれど、このジャックのすごいのは、彼は生まれも育ちもアメリカ人なのに、このスペイン訛り英語を完璧にしゃべってるところ。(少なくとも私の耳にはそう聞こえる。)


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ストーリーは、修道院で料理番をしてるイグナシオ(ナチョ)が、修道院の孤児たちにおいしい物を食べさせるため、ルチャリブレ(メキシカンプロレス。メキシコで大人気の大衆芸能。日本のグレートサスケなんかもここのスタイルを踏襲してるよ)で、覆面をしたレスラーとして、もうひとりの変人”ヤセ”とタッグを組んで賞金を得るため戦うが、あこがれのシスターに”ルチャは虚栄心のために戦うから罪だ。”といわれ悩んだあげく、、、というもの。


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このナチョの性格がまたいい。やんちゃな子供がそのまま大人になったような、純粋で、ドジで、優しくて子供好き。
ルチャをやるのも子供らのため、といいつつ、実は同時に子供の頃からルチャが好きで、好きで、とにかく勝ちたい!、、、のだ。
”神様はどうして俺をこんなにルチャ好きにさせといて、弱っちくしたんだろう、、、”とため息をつくナチョ。

修道院ではルチャは罪だとされ、TVで見るのも禁じられてるので、ナチョはばれないように覆面をかぶって試合に出るのです。
”ルチャはお金とうぬぼれのための虚栄心の戦いです。”と、ペネロペ=クルス似の美人のシスター。
”戦うのは罪かな?”と聞くナチョ。
シスターは”貴い目的のため、人を助けるための戦いは、神は祝福なさるでしょう。”
で、子供たちにおいしい食事をだすため、と大義名分を見いだしたナチョはルチャで戦い続けます。

はて?これってどっかで聞いたことあるような、、。
そうだ!“タイガーマスク”だ!(って、どれくらいの人が知ってるかしら、、、このマンガ)
でもこのナチョ=リブレは、実在したメキシコのフライ=トルメンタ(暴風神父)というルチャドール(レスラー)がモデルらしいから、タイガーマスクの方がまねしたのかも、、。

さて、ナチョは宿敵、それこそ金と虚栄のために戦い、他人への思いやりを欠くラミレスとの一騎打ちに勝てるでしょうか?お楽しみに。
いっておくけれど、同じような流れの話でも”ロッキー(パート2以下)”よりはるかに感動ものですよ。

こんな品のいいクオリティー高いコメディーを演じられる俳優は日本にはいるかなあ?。下品なドタバタコメディアンは多いけれど、、、。
植木 等さん、惜しい人をなくしました、、、。


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