2012年11月26日

玄庵茶会・藪内のお茶〜香雪美術館

朝日新聞創業者の村山龍平は、明治・大正の実業家、政治家であったと同時に、美術蒐集家、数寄者としても有名で号を玄庵、香雪と称しました。


晩年は事業の傍ら茶事を再々行い、大阪の実業界を中心に茶の湯の会を起こしたそうで、小林逸翁、野村得庵、畠山、根津など綺羅星のごとき実業家茶人とほぼ同時代の人で、また交流もありました。

この龍平さん、毎年命日の11月24日あたりに追福茶会=玄庵茶会が催されます。

神戸の六麓荘といわれる御影にある香雪美術館
ここは宏大な旧・村山邸の敷地内にあります。
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裏千家の茶会などではもうこのあたりから着物姿の方をたくさん見かけるのですが、だ〜れもいません。
日にちを間違えたのか?と一瞬思ったほどでした。
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あ、ここまできたらおられました!


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すでにここからもう紅葉が見事で。

玄庵茶会は村山龍平にちなんで藪内流なので、学ぶ人口から行ったらかなりの少数派。
がゆえに、お弟子さんとお家元との距離も近いようです。
そういうのって、ちょっとうらやましい。
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こちらの数寄屋がお茶室への入り口かと思いきや、ここはなんと単なる荷物置き場。
荷物置き場からしてもう立派なんですけど、、、[E:coldsweats02]
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なんと美術館をそとからぐるっとまわって裏から初の村山邸へ。

一歩はいっただけで、おお〜っ!!
御影の町中に突然あらわれた山の風情。
ここはどちらの森?、、、でしょうか。

檜皮葺の編笠門(実際見るのは初めて)をくぐれば、、、、、


時はまさしく紅葉の美しさが最高潮。
一歩歩く毎にかわる景色は、どの瞬間もため息が出るほど美しい。[E:lovely]
(写真がないのがかえすがえすも残念。)

旧・村山邸(重要文化財)は今回見ることのできなかった洋館と、数寄をこらした和館が隣り合っていて、当時の建築の雰囲気を感じることができます。
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ちなみにこの遠景にみえるのがその洋館。

茶会は、宏大な和館をあますところなく使っておこなわれます。

それにしても和館だけでも大名屋敷くらいすごいのに(50畳の大広間あり)、これに同じくらいすごい洋館があるなんて、いったいどんな大邸宅なんだ!

和館の寄付で芳名録にサインしたあと、待合へ。



寄付と同様、こちらにも大きな大名火鉢にたっぷりの炭が手あぶり代わりに置かれていて、朝冷え込んだこの日にはなによりのご馳走。

松平不昧公の軸は、中国の茶碗の底に書かれている文字をそのまま不昧公がしゃれて書いた「福貴長命金玉満堂〜○○年製」。
(○○は中国の年号でしたが、忘れた、、)

お白湯をいただいたあと、こちらで主菓子を。

末富さんのきんとん「錦秋」。
紅葉の赤、常磐木の緑、銀杏の黄の三色のきんとん。
美味しゅうございました〜[E:heart04]

こちらの障子をあけてながめる露地の紅葉も見事。
寒さを忘れて開けはなって見とれておりました。


迎えつけのあとは、初めてくぐってみる中潜り(裏千家では中潜りはありません)をくぐって腰掛け待合いへ。

ここからの紅葉の眺めもまたなんとも、、、(さっきからこればっかりですねえ、、、[E:coldsweats01]だってそうなんだもん)

銅鑼の音につくばって目を閉じると数匹ではきかないようなたくさんの鳥のさえずりが聞こえます。

いよいよあの藪内流家元にある燕庵の忠実な写し茶室である玄庵へ。

村山龍平は、藪内流の薮内節庵に就いて茶を修めたため、玄庵は彼の指導を受けて建てられました(明治44年)。

薮内家では、伝来の茶室「燕庵」を写して建てることは相伝を得た人だけが許される定めになっており、村山邸に燕庵写しが建てられたのは破格の扱いだったそうです。


今年春頃NHKの趣味悠々で藪内の茶の湯のシリーズが放送され、若宗匠がでてはりましたね。


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あとでこの本読みなおすと、本当の燕庵かと思うくらい見事に写されています。


三畳台目+一畳の相伴席。
あのTVで見た若宗匠が濃茶を点てて下さいます。

点前座には色紙窓があって、するすると外から簾をまきあげられると、きれいな虹のいろがプリズム効果ででて、きれいです。

他にも墨蹟窓、下地窓、突き上げ窓、風炉先窓と窓が多く、(暗い利休好みの小間も好きですが、)こういう光の変化が楽しめる窓の多い茶室もいいなあ。
そういえば、燕庵はもともとは織部屋敷の茶室でしたね。
これが織部好み。



軸は南宋の画家、 徐煕(じょき)の梅鷺図。
せ、、、千年以上も前の絵でっせ[E:coldsweats02]

主茶碗の津島伊羅保でいただきましたが、この茶碗、不昧公の雲州蔵帳にのっている名物なんですって!!

大ぶりで、雨漏りがごっつう渋いよいお茶碗でした。

そして、そして、いつもはガラスケースの向こうの唐物茶入を人生初、この手でさわりました〜[E:happy02]きゃ〜!!


大名物、漢作唐物・薬師院肩衝。

堺の医師薬師院竹田法眼定信が所持したことから。
別名針屋肩衝とも。

女性の手にはあまる大ぶりなのに、この軽さは一体、、
これが唐物なのね。じ〜ん、、、、[E:crying](感涙)


濃茶席で興奮(?)したあとは和館の二階の大広間へ。
かの50畳敷。
ここからの庭の紅葉がまた美しく、目をあげると神戸の市街が見えるんです。

目もくらむような大ぶりの湖東焼の大壺に、これまた見事な生け花。

そして薄茶席は藪内の重鎮、随竹庵福田宗匠が担当されました。

広間なのでほっと一息、ようやく藪内のお点前をおちついて拝見できます。
武家点前ですから帛紗は右腰、帛紗さばきも独特で、茶器を清める所作が刀をさっと鋭くふりあげたようでかっこよい。
そしてお運びさんも全員男性。

軸は春屋宗園和尚が藪内初代、剣中に乞われて書いた「臨済四照用語」。

仁清の冠水指がおもしろい。
ちょうど閻魔さんの冠みたいに横に角が生えているんです。
金森宗和の箱書き付き。

お茶碗もノンコウの黒筒(銘・寒空)とか遠州切形の高取とか高麗の黄伊羅保とかあれとかこれとか、、、、[E:lovely]

ちなみに私は初代大樋の飴釉渦巻紋の茶碗でいただきましたっ!


そして藪内独特のつぶつぶの炉中灰、および蛤型の四隅もばっちり拝見。



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夢見心地で眼福をいただいたあとはやはりお腹の方も、、、

和館の二階から階段をおりてひろいお庭へ。

こちらに紅葉した美しい木々でかこまれた広場みたいなところがあって、ここに村山家の紋入り幔幕を張り、贅沢に庭師さんが薪をくべています。


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こちらで点心をいただく。


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しかも高麗橋吉兆ですのよ〜[E:happy02]

見上げば美しい紅葉の天井、あまた聞こえる鳥の声、、、
このここちよい空間に、ほんとうにいつまでもたたずんでいたい、、、そんな気持ちでした。


はあ、、、昔の貴紳の方々はこうして季節毎、茶の湯を楽しまれたのでしょう。
うらやましいことこの上なし。

でも、庶民の私でもこうして参加させていただけたのはありがたいことでした。

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ほんとうに偶然なんですが、10月の高麗美術館主催のソウルへの旅でごいっしょした方と同じお席だったんです。
びっくり!
お茶の世界は狭いですね。
でもうれしいご縁でした。[E:happy01]どこかできっとまたお目にかかれますね。


最後に美術館の方で開催中の「寛永文化の茶人たち」展を拝見して、またほ〜っとため息をついて帰路につきました。


*ひとつ学習したこと

宗旦が伊勢路の能古(のうこ)茶屋で手に入れた竹で二重切花入を作って楽家三代道入に与えた。
彼はこの花入を好み、これに花をいれていつも客人をむかえたことから能古〜ノンコウと呼ばれるようになったとか。
posted by しぇる at 22:42| Comment(12) | TrackBack(0) | お茶と着物3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
つい先日、岡本に行く用事があり、その帰途、香雪美術館に立ち寄りました。

ごっついお屋敷やな〜、と時計周りに4分の3周して、ようやく美術館の門にたどり着いたのでした。やはり隣が村山邸だったのですね。

そんなところで茶会とは、素敵ですね♪
Posted by やなぎはみどり at 2012年11月27日 00:24
香雪美術館はいつ行っても展示をゆっくり拝見できますね。
阪神モダニズムなんて言葉がありますが、村山さんや乾さんなどはその象徴のような人たち。
参会されたお茶会のものすごさにただただ驚嘆してます。
使われているお道具から朝日新聞をはじめられた村山さんと上野理一の美術への関心の違いについて思うところがありました。
Posted by 野中の清水 at 2012年11月27日 10:52
う〜ん、見事な紅葉、お庭も建物も別世界ですね。塚口に住んでいたころから香雪は行っていたのですが、最近はご無沙汰、近いうちに行ってみなければ。
野村得庵も薮内流なので、碧雲荘で若宗匠のお点前を拝見したことがあります。武家流のお点前はキリリとしていいですね。
先日、孤蓬庵の江雲会に行ったのですが、忘筌席は上田宗箇流で、お点前はやはり若宗匠、家元が後見でお運びは全員男性で、こちらも皆様、本当にかっこ良かったですよ。
Posted by そらいろつばめ at 2012年11月27日 15:40
ほ〜!最後までため息まじりで拝見いたしました。すごいですねえ。
Posted by ひいらぎ at 2012年11月27日 20:14
やなぎはみどり様

本来の豪邸の庭の隅に美術館を建てた、、、という感じですね。
いやはや、ほんとうにすごかった!
Posted by しぇる at 2012年11月28日 00:03
野中の清水様

村山香雪の美意識のレベルの高さにしびれました。
上野理一ってだれだっけ?[E:coldsweats02]と、調べていたら、昨年の京博の「筆墨精神」は彼のコレクションだったのですね!
(今頃知った)行きましたが、正直ちょっとわかりませんでした。これは野中の清水様の世界でしょう。
ほんとうにともに朝日新聞創始者でありながら、興味の対象はまるでちがったようです。でも、見識の高さという点ではどちらもすごくハイレベル[E:coldsweats02]
Posted by しぇる at 2012年11月28日 00:08
そらいろつばめ様

行きたい行きたいとチャンスを狙いながら、気づいたら申し込み期間が過ぎていたりでなかなか行けませんでしたが、やっと願いがかないました。(本当は阪神間に住んでいた頃に行くことができたらよかったんですが、、、)
碧雲荘もこんな感じで1年に一度でよいから公開茶会をしてくれればいいのにね、と思います。
いや、ほんとうにいままでのどの美術館の茶会よりよかったですよ。
Posted by しぇる at 2012年11月28日 00:12
ひいらぎ様

来年あたり、いかがです?
Posted by しぇる at 2012年11月28日 00:12
写真見たかったところですが・・・写真がない分、しぇるさんの語りでいろいろ想像を巡らせて・・・・一緒に感動させてもらいましたわ。
 ふふーん。「スケジュールいっぱい!」のひとつですね。(笑)
 この次のスケジュールも楽しみにしています(笑)
Posted by 花咲おばさん at 2012年11月29日 00:23
花咲おばさん様

こうやって休日に疲れて、月曜から仕事中に休息、充電しとるんですわ。やっぱりマチガッタ生活ですよね?[E:coldsweats01]でも、やめられないの。年末までラストスパートで走りきりますわよ!
Posted by しぇる at 2012年11月29日 22:38
香雪美術館のホームページでお茶室の写真を見ました。
あんな素敵な空間で、その上若宗匠のお点前でお茶をいただくというのは夢のようですね![E:shine]

藪内流は、お弟子さんとお家元との距離が近いんですか。
私も「裏」なのでうらやましいです。[E:cat]

今はお茶はさぼり中なので、早く週末京都人になって復帰したいと思っています!
Posted by にゃんちゃん at 2012年12月02日 01:50
にゃんちゃん

藪内に限らず、人数の少ない流派は家元や若宗匠ががんばっておられます。直接お点前をいただける機会も多く、まあ裏では考えられないですよね。ちょっと大きくなりすぎたかも。

ウィークエンド京都人、お待ち申し上げています。
Posted by しぇる at 2012年12月02日 21:09
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