2011年09月24日

北村武資「織」を極める〜京都国立近代美術館

薄物の織物に「羅」というものがあるのは知っていました。
でもどんな織物なのかといわれると、漠然としたイメージしかなかったのです。


Flyer388front

紗のほうは着物にもよく使われますし、織り方もまあ粗めの格子状と考えればいいので、なじみがあるのですが。

羅は古代中国ですでに織られており、日本に伝来後は主に貴族の冠などに使われていたそうです。
ところが京都人のいう「さきの戦争=応仁の乱」[E:coldsweats01]で、その技術伝承はとだえ、その後散逸してしまったのだそうです。


その古代の織りともいえる羅を研究し現代に復活させたのが、ただいま岡崎の国立近代美術館で展覧会開催中の北村武資さんなのです。
それによって、かれは「羅」の人間国宝になられました。

羅の織り方のイメージはいうなればストッキングの織り方に似ているかもしれません。

自分のイメージではもっと粗い目の織物だったのですが、この展示をみてその認識を改めました。

もう、、、なんというか、天女の羽衣?

それこそストッキング並の目の細かさ、多分手に触れても重さを感じないのではないかと思うくらい。

しかも彼の織る織物は「文羅」といって、その細かいなかにも繊細な紋様を織り出しているのです。

その透き通る軽さが身上なだけに、展示にもそれが感じられるような工夫がされています。

下から光をあてる、天井から吊して、微風にゆらゆらさせる、など。

もうため息がこぼれます。
美しい羅の林の中を逍遙している気分。
(上記の北村武資のリンクから、会場風景がみられますので、是非のぞいてください)

その細かい文羅の一部を雰囲気だけでも、フライヤーの拡大でご覧下さい。






P1130200

展示の中にはこの羅で仕立てた塵よけなどがありましたが、こんなのとてももったいなくて、塵よけの上にもう一枚塵よけでカバーしたくなりますわねえ。

一度羽織って、その軽さ、涼しさを体験したいものです。

それにしてもどれだけの手間がかかっているのでしょう、この文羅一反を織るのに、、、

さらに、北村さんは羅だけでなく、「経錦(たてにしき)」という織物でも人間国宝なのです。

これは羅とは対照的にみっちり織られた織物です。

イメージとしては古帛紗や仕覆の裂地のような感じでしょうか。

これも古代からの織物で、正倉院につたわる織物に見ることができます。

数種類の色糸を縦糸として、そのうちの1本だけを表に織り出し、縦糸で紋様を織るのだそうです。このとき他の色は裏にまわるため裏も色違いのきれいな紋様になります。

これは技術的にむつかしく、縦糸の色数も制限されるので、現在ではほとんどの織物が緯錦(よこにしき:横糸で模様を織り出す)。




P1130202

これはフライヤーではうまく表現できませんね。

本物を見たイメージは、源氏物語の姫君たちが一番上にお召しになっていた唐衣、、、でしょうか。

これまた羅とちがった、気の遠くなるような作業です。
それがため息ものの美しさで、、、。

こんなすばらしい着物、帯、どんな方がお召しになるのでしょう。

これだけ手間がかかり、高度な技術が駆使されているのですから、その価値はよくわかりますし、お値段も上がっていくのは当然のことでしょう。
ただ、庶民の手にはちょっと届きそうもない。

思えばこのような織物を古来身につけていたのは支配者階級、富裕層でありましたね。
そういう層がうすくなっていく日本に、この先需要が確保できるのか、老婆心ながら心配したりして。
(庶民階級に心配してもらわんでもいいって?[E:coldsweats01])

ああ、でもすてき[E:lovely]


posted by しぇる at 18:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 美術館 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「羅」とか「有職織物」の人間国宝というと
喜多川平朗さんを思い出します。
Posted by 野中の清水 at 2011年09月25日 07:52
野中の清水様

いろいろよくご存じでいらっしゃる。
喜多川平朗さんの名前は知りませんでした。
今までにも古代織の再現に力を尽くした方はけっこういらしたのですね。
そういば龍村さんもそうでしたね。
おかげで現代の私たちもそれを楽しむ恩恵に浴することができます。
Posted by しぇる at 2011年09月25日 23:24
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