2010年10月08日

藤田美術館〜「季節を愉しむ・I」

生まれたての銀河のような星を宿す曜変天目を見ようと大阪は京橋の近く、藤田美術館へでかけたのは今年6月でした。

ところが、数日前にその展示が終了し、美術館が閉館中、、、で[E:shock]うっそ〜!
かわりに無料で入れる旧藤田家庭園跡、太閤園で楽しめたのはよかったのですが、やはり美術館へも行きたい。

季節もよくなったので、やっと訪れることができました。

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最寄り駅はJR大阪城北詰駅。

東西線の各駅は壁にそれぞれシンボルマークが描かれていて、楽しいですよ。
北詰駅は大阪城にちなんで千成瓢箪です。

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本筋からはずれますが、こちらは新福島駅の逆櫓の松(福島あたりにあったというby平家物語)
ちなみに他にも大阪天満宮駅は梅、海老江駅は野田藤、加島は青海波などなど。








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藤田美術館は、高杉晋作らとともに騎兵隊で活躍し、維新以後は関西財界の重鎮であった藤田伝三郎氏のコレクションを展示する私設美術館です。


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今季のテーマは「季節を愉しむ・その1〜秋〜新春の美術」ということでございます。
(残念ながらあの曜変天目は今回はでておりません)


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戦災で壮大な藤田邸はほとんど焼失しましたが、焼け残った蔵を改造して展示しています。

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壮大であったであろう片鱗をおもわせる前庭の多宝塔。これもコレクションのひとつ。

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中に入ると、ああこれは昔の木造小学校のにおい。(歳がバレバレ)
木の床にひいてあった油のにおい、講堂のにおい。なんだかなつかしい。
そういえば入り口から続くこの廊下もなんだか昔の小学校の廊下っぽい。
こういう古い建物なので、冷暖房に難があり、夏と冬は休館なのだとか。(おお!レトロ!)

なので、建物はとてもレトロな感じが良い雰囲気なのですが、難をいえば展示物の照明の仕方が古い。

最新の美術館では展示物がまんべんなく見えるように照明も工夫してあるものですが、ここでは上に蛍光灯がついているだけで、お茶碗など底を見ようとすると、暗い、、、。

しかし、ものは考えようで、茶道具などは本来薄暗い茶室で使われる物、煌々とした照明のもとでみるものではないので、こういう雰囲気で見た方が臨場感があるかもしれません。

展示物はやはり茶道に関する物が多く、堪能できました。

利休さんの「松茸の文」(松茸を北向道陳からもらった礼状)はさっぱり判読できませんでしたが、ケラ判(利休の花押)はなんとか。

垂涎物の高麗茶碗もいくつか。

玉子手茶碗「薄柿」手の中にすっぽり入りそうなあたたかな感じ。

大井戸茶碗「蓬莱」または武野紹鷗が所持したことから「武野井戸」まさしくただしく、井戸茶碗の特徴をもっています。
私の頭には国宝「喜左右衛門井戸」のイメージがあり(実物みたことないけど)もっと枇杷色、もっと黄味がかっているものと思っていましたが、この井戸はブルーを感じさせるグレイ、、といった感じ。(ええな〜[E:lovely]いっぺんこれでお茶いただきたい)

大徳寺呉器茶碗、ももいろであったか〜い感じ。梅花皮(かいらぎ)も見所。

その他、ノンコウの黒楽「朽葉」茶碗の中がなんともいえない飴色。

南宋の砧青磁茶碗「満月」南宋のセラドンブルーは青磁の最高峰とか。

宗入の赤楽「埋火」現代の赤楽にくらべて渋い赤、これは時代色なのか、初めからこういう色だったのか?

宗旦の菊絵手張漆塗桶型茶入、宗旦らしくとてもシンプルで渋い。

松花堂好、武蔵野の灰匙。匙に露をおくススキと下弦の月の絵が。これで後炭のとき、このうえに煉香をのせてでてきたら、かっこええなあ。

狩野常信筆、中・菊慈童、左右・菊。
なぜ真ん中の少年=菊慈童が枕をかかえているのか、わからない人は調べてね。
私は大学時代、初めて見た能が「菊慈童」だったの。

、、、、、と、こうきて、おおそうか!
季節を愉しむ、の意味を思い出しました。
ほんに、どれもこれもテーマは「秋」なんですねえ。

こんなテーマで催された茶会や茶事に招かれてみたい[E:happy02]
出した亭主の思いと、それをくみ取ることのできる客の力量勝負、これこそお茶の醍醐味ですわ。



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帰りはやはり(ただ!ですので)太閤園庭園にいかなくちゃ。
こちらは、やはり焼け残った藤田邸の一部、淀川邸(なかはレストラン)の玄関わき。
いい仕事してますねえ。

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コンパクトな宇宙=茶庭。


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庭園も少し夏の名残を残しつつ、少しだけ秋、、、といった風情でした。


posted by しぇる at 19:23| Comment(10) | TrackBack(0) | お茶と着物・2 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
藤田伝三郎さんは茶道具を購入するときは同等のものを3個づつ
購入されたそうです。子供さんに分けるためにね。
まあお金持ちは何でもできますから。

ホテルオークラの大倉喜八郎さんは購入するときに必ず値切る、
藤田伝三郎さんは言い値で購入(そんなことないと私は思っていますが)
松下幸之助さんは欲しいものは値切る、ケチをつける
岡山の林原さんは池田侯爵家の美術品を言い値の2倍で購入した
お金持ちもいろいろです

藤田さんは本当にいいものをお持ちですね
一度行きたいです

一昔前に御家(おいえ)さんといえば伊藤忠の奥さんのことだったそうです
音楽芸能芸術の関西一のパトロンだった

それに負けず劣らずすごかったお方が藤田さんや村山さんの奥さんだったとか
そのようなものすごい方でないと美術品が守り切れなかったのでしょうね
Posted by 野中の清水 at 2010年10月08日 22:28
素敵な美術館ですよね~~~
時を経たものはやはり力がありますよね。
こんな所で暮らしてみたいですね。
Posted by nageire at 2010年10月09日 11:29
素敵な場所を紹介いただきました
京都もそうですが小さな渋い美術館いいですね
11月下旬直ぐ近くに仕事で行きますので
何とか時間を作ってみたいと思いますが厳しいかも知れません
話は飛びますが昨年犬島に行ったとき暫くは来ないだろうと
思ってましたが先日又行ってきましたと言っても島めぐりの途中
新しいプロジェクトのみの一時間の寄港でしたが
Posted by kame at 2010年10月09日 12:02
野中の清水様

(そんなにかぶっていませんし、おもしろい情報ですのでこのまま掲載させて下さいね)

かつての財閥は芸術・美術を保護する偉大なパトロンでしたが、最近のこのご時世、そういうものを守り育てることにお金をつぎこむのは、むつかしくなっているのかもしれません。
藤田美術館、大々的な広告はされませんが、お茶をされる方には人気です。
大阪へおいでの節は是非一度おいでください。ただし夏、冬は結構長い休館期があります。
あと、香雪記念美術館で現在野中の清水様ごのみの展示会、されていますよ。
Posted by しぇる at 2010年10月10日 00:12
nageire様

展示物はすてきなのですが、冷暖房なし、なので夏冬に住むのはちょっと、、、、[E:coldsweats01]
Posted by しぇる at 2010年10月10日 00:15
kame様

それほど大きな美術館ではありませんので、1時間あれば十分かと思います。
京橋から歩いてもいけますし、是非。

犬島アートプロジェクトのお話をおききしてのち、この夏は瀬戸内国際芸術祭の記事をあちこちで目にしました。ああ、犬島のはこれの一環でもあるんだな、、、と気付きました。
残念ながらでかける時間的精神的ゆとりがありませんで[E:coldsweats01]
Posted by しぇる at 2010年10月10日 00:20
しぇるさま

御紹介ありがとうございました
早速行ってきました
やはり香雪美術館の展示はすごいですね
圧巻は藍紙本万葉集でしょうか

もちろん高野切3種類すべてあるということ自体が別格のこと
他では見ることはないでしょうね

そして尼僧の最高峰、無外如大尼これは本当に珍しいものです
大燈国師もいいもの、沢庵の大きな横物もすごい

展示の最後には稚児観音縁起絵
始めて実物を見ました
一番有名で出来の良いところ

後期はまたすごいものが出ますので是非行こうと思います
ありがとうございました

帰りは六甲山ホテルに行き、コーヒーを飲みながら
夕陽と凄みのある三日月を見ました
このホテルはいつ行っても景色がいいです
そして満足して帰ってきます
Posted by 野中の清水 at 2010年10月10日 19:45
野中の清水様

ええっ?!もう行かれたんですか?[E:coldsweats02]
すごいフットワークですね。
実は私、HPをみて、これはちょっとおそろしすぎて行けない、、、と行ってないんですよ〜。
野中の清水様のご解説を拝見して、やっぱりこれは歯が立たないな、、、、と。
唯一禅僧の物は見てみたいですけれどね。

六甲山ホテル、、、、なつかしいです。もう20年以上行っていませんが、かわっていないのでしょうかね。
この三日月が今月の豆名月・十三夜になるのがまちどおしいです。
良いお天気になればいいのですが。
Posted by しぇる at 2010年10月10日 22:01
しぇるさま

六甲山ホテル
変わってないですね
お客さんはまばらになっていますが
その代わりいつでも見晴らしの良い席で
食事ができますよ

いつもみるところと違うところでの
お月見も楽しいでしょうね
お月さまも十三夜から臥待月まで
雲間の月も楽しめますね
雨が降らないように祈ってますね



香雪美術館の展示には是非ご出御ください
後期は前期にもまして名品が出ます

「継色紙」は古筆の最高峰で高野切と人気を二分するもの
「関戸古今集」も高野切と同等のものと評価されているもの
「小倉色紙」はお茶席で飾られる古筆では最高のもの
「熊野懐紙」これも懐紙では最高のもの
「落葉切」これも伝西行のものでは格付け1番のもの
「俊成消息」は定家が宮中で喧嘩して、後白河法皇のお許しが出ないので
      俊成が義理の息子だった寂蓮にとりなしを頼んだもの
「夢記」 これは明恵上人の日記で人気のあるもので一巻でます

古筆だけでこの重量級です
他の展示品については知識がないのでよくわかりませんが

実は藤田美術館はこれをはるかにしのぐ古筆のコレクションなんです
熊野懐紙を複数持っていたので1点残して売っています
古筆だけで言うとひとケタ違う感じですね
Posted by 野中の清水 at 2010年10月10日 23:15
うわあ〜、、、すごい。
ご解説、ありがとうございます。
できれば初心者向けの古筆講座をひらいていただきたいくらいです。
藤田にも古筆コレクションがあるとは知りませんでした。
香雪美術館、京都へ移住すると神戸は心理的に遠くなるので、今のうち、とは思っているのですが引っ越しカウントダウンでちょっときびしいのです。大阪市内なら昼休みにいけるのですが。
Posted by しぇる at 2010年10月11日 19:04
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