2012年09月03日

重陽・登高の茶事(飯後)

重陽の節句が近づくと、大好きなこの詩の一節が口をつきます。

九月九日 山東の兄弟を 憶ふ   王維

獨り 異鄕に在りて  異客と 爲り,
佳節に 逢ふ毎に  ますます親(しん)を思ふ
遙かに知る  兄弟 高きに登る處,
あまねく 茱萸(しゅゆ)を插して  一人(いちにん)を少(か)くを




古く中国では、9月9日の重陽の節句には、家族が集まり高台に登って菊酒を飲む、登高飲酒の習慣がありました。
その時に、髪に茱萸(グミではなく、呉茱萸という漢方にもなる植物、カワハジカミ)をさしたそうです。

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今回の飯後の茶事は、重陽の節句を少し先取り、登高の趣向にいたしました。

そのはじめとして、席入りの挨拶の時にこの詩を書いた紙にヒペリカムの枝を添えて。

(ほんとうは呉茱萸にしたかったのですが、手に入らないので、イメージ的に似ている??ヒペリカムに)

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それぞれお客さまにこの枝を御髪に挿していただいて、本日は登高、山に登ってこれから宴を、、、という趣向で。
みなさま、はずかしがらずにやってくださいました。[E:happy01]



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当日おちついて灰型を作る自信がないので、これは前日につくった丸灰。
(師匠、いかがでしょうか?)

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ほんとうは鬼面鐶付切掛け風炉は、わびた小間より広間で使うのがふさわしいのですが、これは母からもらったもの。
使わないのもモッタイナイので、今回初登場。

切掛けは灰器、中掃きがいらないので、ある意味とても楽です。

飯後はこれといった決まりがないのですが、今回吸い物+向付、八寸でやってみました。

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前日がんばって頑張って作った、、、というか下ごしらえしたのですが、吸い物の具を考えるくらいで本式の懐石よりはるかに楽です。
これなら私にもできるわ。




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お酒はやっぱりこれでしょ。菊酒。
月の桂のにごり酒に食用菊を。


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飯後の茶事は別名・菓子の茶事とよばれますので、お菓子は大切。
着せ綿なんかがよく使われますが、あまり重陽の節句にちなむばかりでも重いので、今回のお菓子はこれ。

千本玉寿軒さんの葛菓子、銘を「星月夜」。
ここの葛は葛焼もだけれど、ほんとうに色がきれいで大好きなんです。
すてき〜[E:lovely]




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中立の後は花の準備を。
重陽らしく菊を、、と思ったのですが、ここでまた少しばかり趣向を。

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ユザワヤで㎝何円で買った赤い布でせっせと手作りした茱萸袋〜[E:happy02]


これも中国からきた習慣で、重陽の節句に呉茱萸をつめた赤い茱萸袋を柱にかけ、邪気を払い、寒を防ぐまじないとするそうです。
これは宮中につたわる行事でもあり、端午の節句には薬玉を飾り、重陽の節句にこれを茱萸袋にかえるのです。

実は主菓子を出した重箱の蓋の模様が薬玉だったので、ぴったりだと自画自賛。

(茱萸袋に関しては、9月9日、嵐山の法輪寺で求めることができますので、ご興味のあるかたは是非。)

茶事のメインイベント濃茶、今回も(私の中ではいままで最高においしい)宇治田原のかねまたさんの、「うじみどり」を。

今回はとってもうまく練れたの(これも自画自賛)。






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続き薄の干菓子。
鍵善の「菊寿糖」に亀廣保の秋海棠。



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亀廣保さんは干菓子専門のお菓子屋さんだけれど、その細工はいつもすばらしい、と思います。
この秋海棠の葉っぱの裏をみてください。
ぺたっとならないように支えがついているんです。(もちろん食べられます)
これ見た時は感動しました!


薄茶の茶碗は季節柄、萩の絵のついたものと、萩つながりで古萩。

古萩はかなり古い物で、貫入がしっかりきわだっています。
お正客様に、「これは銘をつけられたらいかがですか?」といわれたので、考え中。

「萩」だけに「さを鹿」とか「宮城野」とか?[E:coldsweats01]



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今回いつも途中で消えてしまう煙草盆の炭、続き薄でだしたもののみ、灰になるまで完全燃焼。
灰にいれるまでに、しっかり真っ赤に熾しておくのがコツかも。


なごやかな薄茶席がおわり、本日の茶事、無事終了です。

亭主七に客三の楽しみ、確かに亭主は楽しかったですわ。

お帰りの際、みなさま、御髪のヒペリカムをはずすのをお忘れなく。



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さて、今回初めて飯後の茶事をしましたが、これはいい!と思いました。

1)時間が3時間と短いので客への負担が少ない。
2)飯後の案内は昼下がり以降になるので、朝、準備に時間的余裕がある。(お菓子など自分でとりにいける)
3)満腹の懐石やお酒で客も眠くなったりせず、適度な緊張感をもってメインの濃茶席にのぞめる。


正午の茶事でなければ物足りない、という方もおられるでしょうが、私なら招くのも招かれるのも、飯後がいいなあ、と当座は思うのです。(まあ、自分の力量不足のせいもあるのですがね)


posted by しぇる at 22:42| Comment(8) | TrackBack(0) | お茶と着物3 | 更新情報をチェックする
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