2012年03月19日

桃月雑記・2012

<その1>

昨年vivasan様にいただいたフタバアオイ、みるみる芽が大きくなって葉がほころんできました。

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無事越冬。
こんなに出たばかりの葉っぱなのに、ちゃんと葵の葉脈になっています。

それ以上に驚いたのは、、、

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葉が出るときに、花のつぼみもいっしょに出てくるんですね〜[E:coldsweats02]


<その2>

市立美術館は行列ができるようなメジャーな展示ばかりではありません。

こぢんまりした展示も散歩がてらでかけてみるとけっこうおもしろい。

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今の展示は「模様をめぐって」。

日本の近代工芸で表現される紋様について、主題、配置、創造などテーマを分けて解析する展示で、工芸も陶芸、染色、漆器、彫金、木工など多伎にわたる作品をいっぺんに見ることができます。

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(それにしても市立美術館は建物自体が芸術なんだわ。)

展示の中でやはり興味が向くのは茶道に関係する陶芸。

清水六兵衛や河井寛次郎、富本憲吉、近藤悠三などのビッグネームの作品が一堂に会しているのは滅多にないことかも。

ただ展示には向く大ぶりの壺などが多く、美術品として優れていても、茶の湯の道具としてはなあ、、、と思っていたらあったんです、すてきな茶碗や水指が。
しかもとても心惹かれる作風の。

作者は楠部彌弌 。
民藝とも接点のあった陶芸家で岡崎在住であったらしい。

初めて知った陶芸家だなあ、、、と思いつつ帰りの道で、、、






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ここは前をよく通るのですが、いい感じの仕舞屋、と思っている神宮道のお家なんですが、


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おお〜っ!
ここがあの楠部さんのお家だったとは!



ちなみにこの展示会、龍村平蔵の錦も見ることができますよ。
25日まで。


<その3>



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春まだ浅く、野村碧雲荘お向かいの清流亭の枝垂桜はいまだ眠っているようです。



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お気に入りの散歩道、碧雲荘の南、疏水分線を歩きます。
これは東向き。

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これは西向き。
水のある景色というのはとても心惹かれますね。


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土手の土筆もいまだし、、、のようです。



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この疏水分線、いつも野村美術館のところで南禅寺に行ったり、永観堂の方へ行ったりで、その上流はどうなっているのか気になりつつ行ったことはなかったのです。
で、この日は流れを遡って山の方へ。

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ドン付きで暗渠になっているもよう。
この先は南禅寺のあの水路閣に通じているはず。

いくつにも別れた疏水分線をたどるのに興味は尽きません。
京の先人の偉大さを確認する道でもあります。


<その4>

早春の永観堂です。



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青楓、紅葉のころは人で一杯ですが、この季節、観光客はほとんどいません。



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シンボルはこの多宝塔。

野村碧雲荘の借景にっも取り入れられていますが、私は毎朝通勤のバス停から、これを遠く眺めています。
雪の日などはとくにきれいなのです。


登って近くまでいってみましょう。

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ありゃりゃ、、、
美しい裳層(もこし)が全然見えない、、、

やはり遠くから眺める物なのね。


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でも多宝塔からの景色はやはりすばらしい。

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境内にこんな碑をみつけました。
滅び行く今様を、現代に残そうと日本今様謌舞楽会を立ち上げた枡井泰山師の顕彰碑のようです。

この歌も梁塵秘抄の中で有名なもの。

今年の大河ドラマでまた今様にスポットがあたっているので、この碑を見に来られる方も増えるかもしれません。


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方丈に入ると、、、あら、エレベーター。


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上からみたエレベーター棟。
上手に隠してはるわ〜。


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ここではこれを見なくちゃね。
臥龍廊。



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まさに龍の骨にあたる天井。
これは木を撓めてカーブを作っているんでしょうね。
匠の技ですわ。


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おやまあ、どこか異次元にでもつながっていそうな、、、



<その5>


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ついこの前来たときは、茶色の枝ばかりだった本法寺(裏千家今日庵お向かい)の柳、もう緑に芽吹いています。



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本日のお目当ては長谷川等伯の大涅槃図春の特別公開。

2年前の春、京都国立博物館で長谷川等伯展をやっていたときに見て、あの博物館の高い天井をもってしても足りない大きさにビックリしたものですが。

本家ではこの涅槃図のために建てられた建物に展示されていました。
高さはありますが、広さがないので全体を眺めることができないのは残念ですが、2階から絵の上の方が近くで見られるというのがうれしい。

今回もちゃんと猫の姿を確認。
(一般に涅槃図には猫を描かないことになっているらしい。ナゼダ?!)
かわいいキジトラですのよ[E:lovely]





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(光悦の巴の庭も見ることができます)

ご住職さんに伺うと、かつては本法寺はもっと広大な地所があり、本堂もこの涅槃図がかけられるくらい立派で大きかったのだそうです。
江戸時代の天明の大火で焼失した後、本堂も小さくなってしまったが、土蔵にあったこの絵は奇跡的に助かったので、今はいつもは宝物殿にしっかりしまわれているとのこと。
う〜ん、薄暗い本堂にかかっているこの涅槃図を見てみたいなあ。



<その6>

桃見月というのに、御所の桃林はまだごらんのとおり堅いつぼみのままです。
寒いしね。

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でも梅林は今が見頃。


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白梅、紅梅、桃色梅、、、
近寄るとほのかな香り。

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御所はご近所の方のほんとうによい散策路ですね。


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ピントぼけてますが「未開紅」といったところでしょうか。

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艶やかな乙女をおもわせるお見事なる姿。

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3月で梅がやっと、なので桜の開花はやはり遅れるでしょうねえ。

でも、こちらは一足お先なようで。


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posted by しぇる at 20:10| Comment(16) | TrackBack(0) | 京都めぐり2012 | 更新情報をチェックする

2012年03月18日

祗園又吉〜東山花灯路

久しぶりに祗園又吉へ行きました。





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遠方からのお客さん方をお連れして、決して後悔させない、という選択肢です。

今まで京都グルメであちこちへ出かけましたが、一番行った回数が多いのが又吉さんなんです。
まずまちがいなかろうと。

(ちなみに町家ショップらりぃに参加されているお店です)


あちこち浮気もしておりまして、ほんとうに久しぶり、お店の雰囲気は少し変わったかもしれません。

カウンター席だけなので、中で大将の手さばきをみるのもご馳走なんです。

写真の方は残念ながらアップできないのですが、お料理の方はグレードアップしていました!
感激。
器もなんだかレベルが上がったような気がします。そんなに高い物じゃありません、と大将は謙遜しはるけど。

品数が多くて、見た目も美しく、季節をふんだんにとりいれたお料理です。
中盤になって、蟹をさばきはじめはったので、わ〜蟹だ蟹だ!と喜んでおりましたところ、いつまでたっても蟹は出てきません。

目の前で取り出していた蟹味噌はおいしいソースになって出てきたんですけれど、、、

次はご飯になります、と聞いてあの蟹は〜?と思いましたが、、、、
でました!

アツアツのご飯の上に蟹の身と葛の餡、生姜たっぷりで!
わ〜い[E:happy02]
なんて贅沢な蟹の食べ方!

いただいたお酒は東近江の純米うすにごり「一博(かずひろ)」。
辛口のおいしいお酒でしたわ。


お客様にも喜んでいただき、食後はせっかくだからと、ほん近くでやっている東山花灯路へ。


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青蓮院から円山公園を経て、高台寺、二年坂、産寧坂、清水までいたるライトアップと灯籠の路です。

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寒かったのと、夜遅かったので近くの石塀小路へ。


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この小路には最近たくさんのお店や宿屋ができて、格子戸を通って漏れてくる電灯の灯りがしみじみ美しい。



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日本の伝統建築はなんと美しく、京都に似合っているのでしょう。

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こちらのお宿では玄関に飾られたお雛様を格子のあいだからちらりと。

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寒い中、結構大勢の方がそぞろ歩きを楽しまれていました。



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イベントもたくさんあるようですが、ただ歩くだけでも楽しいです。

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祇園閣もライトアップ。
こうしてみるとますます祇園祭の山鉾に見えますね。


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大谷本廟はまるで夜間飛行の滑走路。


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長楽館では表でホットワインなど売っていたので、いたくそそられましたが、さきほどおいしいお酒をいただいたばかりなので断念。


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円山公園にて。


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これは一つ一つがこんなお花の形をしています。
この近くにもう少し行けば小川のせせらぎ一面を竹灯りでうめつくした物が見られたらしいのですが、残念ながらこれは見逃しました。

20日までです。
もう一度行こうかな。
posted by しぇる at 21:00| Comment(10) | TrackBack(0) | 京のグルメ | 更新情報をチェックする

2012年03月16日

宮沢賢治・詩と絵の宇宙

東日本大震災から1年、東北は岩手が生んだ宮沢賢治の「雨ニモマケズ」が復興をめざす人々の愛唱歌になっているそうだ。

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(大丸・宮沢賢治。詩と絵の宇宙展)

それはそれでうれしい。
うちのめされた人の心にしみいる詩だから。

でも、賢治の宇宙はほんとうはもっともっと広いのだ。

実は高校生の頃、私は宮沢賢治全集を学校の図書館でほとんど読破した。
そして賢治についてどんなことでも知りたいと、いろんな資料を読みあさった。



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大学に入って、この全集を河原町の古本屋でなけなしのバイト代をはたいて買った。

そして賢治の足跡をたどって、イーハトーヴ(花巻、盛岡周辺)巡礼をすること2回。

そこまで彼の詩が、物語が、歌が、そしてその生き様が、アドレッセンス(思春期)中葉(これは賢治が生前唯一出版した「注文の多い料理店」で対象者として書かれている言葉です)の私を惹きつけてやまなかったのだ。


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小学生の頃、初めて「銀河鉄道の夜」を、読んだ。

この物語の原稿は散逸部分が多く、未完成原稿であり、話の筋がすっきり終わらないことから、一体最後はどうなっているのだ?といういらだたしい思いをかきたてた。
それだけに気になる物語だったのだ。

もう少し大きくなって、高校生のころに再会できた幸運をよろこばずにはいられない。
未完成稿など気にもならない、おおきくて、おおきくて、はてしなくて、壮大で、、、そして美しい物語としてよみがえった。
(なにしろ「銀河鉄道999」なんて名オマージュができるくらいですから)

そして賢治全集に突進したわけで。

なのに、大人になってしばらくあの賢治ワールドを忘れていったのは、アドレッセンスをとうにとうに過ぎて浮き世のアクにまみれていたからなのだろうなあ。

大丸ミュージアムで宮沢賢治・詩と絵の宇宙をやると聞いて、かつての自分に会いたかったのかもしれない。

賢治の年表、原稿、手帳はもう何度も見ているので頭にはいっているのだが、イーハトーヴ周辺の地図を見たときは、行った時の思い出がいっぺんによみがえって思いがけなく目頭が熱くなった。

イギリス海岸(賢治命名・北上川の白亜紀の岸辺)では賢治作詞作曲の「Tertiary the younger」を口ずさみつつ、
羅須地人協会の建物を見に花巻農業高校に許可を得て入り込む。
賢治設計の花時計を見に花巻温泉へ。
旧花巻農業校跡の「早春の詩」碑を声をだして読み上げ、
旧盛岡高等農学校時代の建物を見るために岩手大学農学部へ。
当時は弟の清六さんの表札がかかった賢治の家をなんどもうろうろ。
盛岡の光源社(「注文の多い料理店」を出版)は今は民藝関係のお店になっている。

はてはセメント工場しかないのに、賢治の晩年の職場だった東北砕石工場あとまで見にいった。

賢治の物語のなかにでてくる地名もつぶさに踏破。
束稲山、早池峰山、遠野、小岩井農場、岩手山、、、、


大丸ミュージアムで今回展示されている多くの物語の挿絵。
うっすらとしか内容を覚えていない物もあれば、はっきり中のセリフまで覚えている物まで、見ながらあの頃の気持ちを追体験していく。
「水仙月の四日」、「雪渡り」、「どんぐりと山猫」そして「銀河鉄道の夜」がやはりいいなあ、、、
賢治の宇宙は美しく果てがなく、こんなにも画家のイマジネーションを刺激してやまないのだな。

それでも、もうあの頃のようにその世界と一体になれることはもうないだろう、という一抹の悲しさも感じる。
賢治、享年37才、それをもうどれだけ過ぎて私は生きてきてしまったやら。


賢治の「農民芸術概論要綱」に当時大好きだった言葉がある。

「まづもろともに かがやく宇宙の微塵となりて 無方の空へちらばらう」



当時、これから始まる人生への道しるべとも思っていた言葉である。

今、自分を振り返って、「かがやく微塵」になれているかどうか、、、はなはだ疑問に思えるのが少し悲しい。
posted by しぇる at 19:49| Comment(4) | TrackBack(0) | 本・映画 | 更新情報をチェックする
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