2011年09月30日

錦秋のころ〜野村美術館定期講演会第4回

彼岸花というのは、いままで何もなかった場所に突如としてあらわれる、、、という印象。

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このいつも通る道に突然現れた、あざやかな彼岸花の一群れ。

うれしい驚きです。


夏の間、暑くてご無沙汰していた野村碧雲荘周辺の散歩道ですが、もう秋の気配がほのかにただよっています。

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細川様のお屋敷の楓もほんのり色づいてきました。

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  なびきかへる花の末より露ちりて萩の葉白き庭の秋風  (玉葉集)



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秋雨にしっとり、野村美術館へ通じる疏水分流。




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分流べりに群生しているマメ科とおぼしき花。
秋らしく、派手やかさはないけれど、群れるときれい。

名前がわからんのです。
こんな花なんですが。
(Ishii様、 nageire様のおかげでアレチヌスビトハギという帰化植物と判明いたしました)



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さて、夏の間おやすみだった野村美術館の定期講演会、4回目になります。


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少し早めにでかけて、この秋のテーマ「錦秋のころ〜月・菊・紅葉を愛でる」を拝見。

秋にちなむ道具がまんべんなく。
いいですねえ、、、、、ため息。
さすがに野村得庵、趣味がおよろしいわ。

二畳の茶室仕立ての展示室に、秋の茶会の見立ての道具組があり、やはり茶道具はこうやって他の道具とのとりあわせ、バランスでみせるものだと思いました。
単品をぽんと展示されているより心に残ります。
天明の車軸釜が抜群の存在感でした。

野村の主席学芸員、谷先生は現在韓国茶道にこっておられるようで、地下の展示室では韓国茶道についての展示があり、それに付随して、野村所蔵の高麗茶碗がいくつか展示されています。
井戸茶碗、、、ええですねえ〜[E:lovely]

神の器の作者の申 翰均さんの現代ものの高麗写しもよいですよ。


講演会の前には恒例の、野村所蔵茶道具による呈茶。

お軸は片桐石州の「塘蜍送花影」。
(月に住むといわれる塘蜍=ヒキガエルが何の花かは知らないが、月の花の影を送ってきている)

花器がこれまたすごくて、3〜4節の尺八のような竹の一番下の節に口をあけ、萩の花が投げ入れられていました。
いいなあ、、、これ。
藪内流(徳庵さんはこの流派)清隠斎による。

銘も「猿猴捕月」とは。

これまた普段はガラスの向こうになるような茶碗で一服、私には江戸時代の絵唐津があたりましたよ。

本日の演者は大徳寺別院・徳禅寺のご住職。
徳禅寺を明治維新の荒廃から建て直した、かの立花大亀和尚のお弟子さんになります。

実はこの和尚さん、以前淡○社のお稽古茶事の節におめにかかっています。
裏千家茶道学園の茶事指導をされていた関係から、お茶との関係が深い方のようです。

今回の講演は和尚が徳禅寺へいはることになったいきさつや、師の大亀和尚の話、徳禅寺の由来、利休の禅修行はどのようなものだったかを古書から読み解く、、、というものでした。
有名な考案や、禅にまつわる逸話を知っていないと、ちょっとむつかしい内容です。

前から大徳寺のかたすみにある徳禅寺については、なんでわざわざ○○院という塔頭ではなく独立した寺なんだろう、と思っていました。
和尚の話によると、徳禅寺開山の徹翁義亨(大燈国師の法嗣)が、もし幕府に大徳寺がつぶされることあらば、(紫衣事件などありましたし)ただちに徳禅寺を切り離して独立させ、ここで大徳寺の流れを断ち切らないですむように周到に用意したもの、ということです。
やっとその役割について納得。

さらに徹翁和尚は大徳寺直系の弟子僧侶すべてに「宗」の字をつけたことから、お茶名の宗名をつけることになったのではないか、とのこと。
私たちの茶名の由来をやっと了解。
大徳寺で参禅された利休居士の如く、われわれの茶もまた禅思想からかけはなれてはいけない、ということ。
長い歴史のある宗名、その名に恥じぬよう、その重さを感じつつ精進精進。
posted by しぇる at 22:12| Comment(6) | TrackBack(0) | お茶と着物・2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月26日

巡る月を愛でる初茶事

少々失敗はあれど、なんとか初のお茶事をのりこえました。

とてもうれしい。
自分で茶事ができたことが。

でも今回は、家と茶室を設計してくれたI君のお手伝いなしにはここまでできなかったです、ハイ。
ほんまにありがとう。有能な助っ人に感謝です。
茶室は使われてナンボ、使ってみてナンボですから、是非今後の茶室設計にいかしてくださいませ。


今回、初めてのクセに一人前に茶事のテーマをそこはかとなく、ちりばめてみようと思い立ち、なににしようかな、と。

お正客は裏千家の教授の免状をもっている友人なのですが、彼女に以前頂いたこの京焼茶碗を薄茶に使おうと思って、この三日月みてひらめきました。

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そうだ!
月だ。
仲秋の名月は過ぎたとはいえ、まだ来月には豆名月(十三夜)があるではないか。


テーマはあからさまではなく、そこはかとなく、、、が理想。
そしてお客さんに読み取ってもらえればなおうれしい。

さて、茶事のお客様をお迎えする前の水屋は大忙し。



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水屋スタンバイOK!

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蹲居もOK!


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露地もOK!
(この日は結構暑く、水をまいてもすぐ乾いてしまうので、何回も水打ち)

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後座で巻き上げる簾もOK!



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なんとな〜く苦手でどうしようと思っていた、煙草盆の火入れ、なんとI君、完璧に仕上げてくれているではありませんか。
亭主の立場を忘れて「らっき〜[E:happy02]」。

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灰型も(ま、なんとか)OK、、、、[E:coldsweats01]

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この秋、最初で最後の単衣でお客さんのご到着を待ちます。


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まずは玄関で虫籠から逃げ出した風情の鈴虫がお出迎え。



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待合掛けは阿以波さんの京団扇。
十日ころの月に秋の野。

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書院飾り、、ではないですが、そっと小谷真三さんの倉敷ガラスも飾ってみました。



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初座。
軸は、茶室開きには絶対掛けようと思っていた、茶の道の心の師匠、久松真一の「随所作主」。

随所に主となれば 立つところ皆真なり (臨済録)

座右の銘でもあります。

さて、ここで大失敗。
「どうぞお入りを」を待っていたら、お正客さんに「釜がかかっていませんが、、」と言われました[E:coldsweats02]

下火がうまくつくかに心奪われ、迎え付けの前にぬれ釜をかけるのをすっかり忘れておりました!![E:shock]

でもこれであとはひらきなおれましたわ。

まずは点心(外注)

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点心と言うより、懐石フルコースくらいのボリュームがあります。
しかも、、、
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蒸し物、向付は別についてきたので、蒸し物の汁を温める必要性が、、、。

こういうとき、狭い水屋だけでは対処できなかったと思うのですが、隣接する多目的スペース(?)の八畳がとってもお役立ち。

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初炭もなんとか下火がうまく熾ってくれて無事終了。

小間ですので、念願の座箒も初使用。


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香合は秋野、上半分の白っぽいところが月の存在を思わせる虫籠香合。


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主菓子はとらやさんの「栗小餅」。
これも満月、、、かな。
縁高をもっていないので、菓子碗に入れてお出ししたら、蓋をあけると栗の香りがふわっとしてよかった、というお言葉。
よかった。でもこれ怪我の功名?

中立のとき釜を上げたら、われながら見事に炭が熾っているので、とてもうれしかったです。
なにしろ一番の懸案でしたから。


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これでアツアツの濃茶が練れそうです。

いつも炭をあつかい慣れている方にはお恥ずかしいのですが、なんとかこれで今後も電熱にたよらないお茶ができそう。


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後座のおしらせは、ひいらぎ様からお借りした銅鑼で。
銅鑼の音はよいですね。
余韻を楽しみます。


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後座では軸は片付け花を飾ります。

じつはこの花器、満月に見立てて。

花は山芍薬の実と薄。

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なにかインパクトのある花がほしい、でも花の端境期であまりない、、、と最後までなやんでいたのが花でしたが、ある花屋さんで見て、これだ!と思いました。

春先に咲く、可憐な白い花から想像できないくらいの実でしょ?




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点前座。

なんと濃茶も(だまができず)われながら良い煉り加減、むふふ。
いや、お茶(上林の初昔)自身の手柄でしょうか。

続き薄で先ほどの三日月の茶碗、ほどよい華やかさの秋の茶碗をおだししました。

実は写真に取り忘れましたが、お干菓子は亀廣保さんの、すはまのエンドウ豆、打ち物の菊を。

豆=そう、豆名月のおまめさんのイメージで。


とどめは、、、、この蓋置。


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うふふ、、、
月に住むのは兎ですものねえ。


I君にも入ってもらって、薄茶席はなごやかに、茶席の由来などもお話ししながら。





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なんとか無事に亭主をつとめることができました。
I君の手助けと、なによりよいお客さんに恵まれましたので。

教授のY様、席中でのご指導ありがとうございました。
あ、でも高校の同級生なんで、実は同い年[E:coldsweats01]

遠くからおいでくださった、そらいろつばめ様、
やっと昨年おまねきいただいた茶事のお礼ができたでしょうか。

前社中のなかで一番茶道に熱心で、一番お茶を熱く語れるW様、
今回は2回目(前回はお茶のみ)のご来席になりました。

よいお茶友にめぐまれたことに幸せを感じます。
(あ、今度は是非招待してね。なにげにリクエスト)

ちょっとだけ変な?自信をつけたので、また茶事、どんどん開きますわよ。(たぶん、、、)
それにしても茶事の楽しみは亭主7に客3とはよくいったもの。
あれこれ悩むのも楽しみのうち、と悟ったのでした。

殺伐たる日常のあいまに、こんなふうにみやび・ふりゅうを愛でる世界をもてることはなんと人生を楽しくすることか。



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(そらいろつばめ様のみごとな綴帯。お義母様のものだそうです)

お茶事がすんでも、お三方ともお互いに初対面でいらしたのに、話がはずむこと、はずむこと。
これもお茶という共通言語あってのことですね。
posted by しぇる at 23:31| Comment(22) | TrackBack(0) | お茶と着物・2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月24日

北村武資「織」を極める〜京都国立近代美術館

薄物の織物に「羅」というものがあるのは知っていました。
でもどんな織物なのかといわれると、漠然としたイメージしかなかったのです。


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紗のほうは着物にもよく使われますし、織り方もまあ粗めの格子状と考えればいいので、なじみがあるのですが。

羅は古代中国ですでに織られており、日本に伝来後は主に貴族の冠などに使われていたそうです。
ところが京都人のいう「さきの戦争=応仁の乱」[E:coldsweats01]で、その技術伝承はとだえ、その後散逸してしまったのだそうです。


その古代の織りともいえる羅を研究し現代に復活させたのが、ただいま岡崎の国立近代美術館で展覧会開催中の北村武資さんなのです。
それによって、かれは「羅」の人間国宝になられました。

羅の織り方のイメージはいうなればストッキングの織り方に似ているかもしれません。

自分のイメージではもっと粗い目の織物だったのですが、この展示をみてその認識を改めました。

もう、、、なんというか、天女の羽衣?

それこそストッキング並の目の細かさ、多分手に触れても重さを感じないのではないかと思うくらい。

しかも彼の織る織物は「文羅」といって、その細かいなかにも繊細な紋様を織り出しているのです。

その透き通る軽さが身上なだけに、展示にもそれが感じられるような工夫がされています。

下から光をあてる、天井から吊して、微風にゆらゆらさせる、など。

もうため息がこぼれます。
美しい羅の林の中を逍遙している気分。
(上記の北村武資のリンクから、会場風景がみられますので、是非のぞいてください)

その細かい文羅の一部を雰囲気だけでも、フライヤーの拡大でご覧下さい。






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展示の中にはこの羅で仕立てた塵よけなどがありましたが、こんなのとてももったいなくて、塵よけの上にもう一枚塵よけでカバーしたくなりますわねえ。

一度羽織って、その軽さ、涼しさを体験したいものです。

それにしてもどれだけの手間がかかっているのでしょう、この文羅一反を織るのに、、、

さらに、北村さんは羅だけでなく、「経錦(たてにしき)」という織物でも人間国宝なのです。

これは羅とは対照的にみっちり織られた織物です。

イメージとしては古帛紗や仕覆の裂地のような感じでしょうか。

これも古代からの織物で、正倉院につたわる織物に見ることができます。

数種類の色糸を縦糸として、そのうちの1本だけを表に織り出し、縦糸で紋様を織るのだそうです。このとき他の色は裏にまわるため裏も色違いのきれいな紋様になります。

これは技術的にむつかしく、縦糸の色数も制限されるので、現在ではほとんどの織物が緯錦(よこにしき:横糸で模様を織り出す)。




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これはフライヤーではうまく表現できませんね。

本物を見たイメージは、源氏物語の姫君たちが一番上にお召しになっていた唐衣、、、でしょうか。

これまた羅とちがった、気の遠くなるような作業です。
それがため息ものの美しさで、、、。

こんなすばらしい着物、帯、どんな方がお召しになるのでしょう。

これだけ手間がかかり、高度な技術が駆使されているのですから、その価値はよくわかりますし、お値段も上がっていくのは当然のことでしょう。
ただ、庶民の手にはちょっと届きそうもない。

思えばこのような織物を古来身につけていたのは支配者階級、富裕層でありましたね。
そういう層がうすくなっていく日本に、この先需要が確保できるのか、老婆心ながら心配したりして。
(庶民階級に心配してもらわんでもいいって?[E:coldsweats01])

ああ、でもすてき[E:lovely]
posted by しぇる at 18:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 美術館 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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